最初は、亡くなったドナーからの腎移植(献体移植)を考えていました。
というのも、息子は現在、血液透析を経て腹膜透析をしていますが、小児で透析中の場合は腎移植の優先順位が高く、検査が終わればウェイトリストの2、3番目にリストアップされると聞いていました。
早ければ2週間ほどで移植ができるかもしれない、という話もありました。
また、私自身、尿検査で引っかかることも多く、自分の腎臓に不安があったため、最初は献体移植を希望していました。 (まあ、飲み過ぎによる肝臓の方が心配なんですけどね…)
しかし、移植チームのドクターやナースたちとの面談を通じて、私たちは生体腎移植をお願いすることに決めました。
考えを変えた理由は、以下のような説明を受けたからです:
- 息子のような小児患者は、将来的に2回目の腎移植が必要になる可能性が高いこと
- 1回目を生体腎で行うことで、2回目の献体腎移植時に適合率が高くなること
- 献体移植のドナーには一定の基準を満たしていても「特定のリスク」がある場合があること
カナダ・BC州での献体ドナーの種類
BC州で献体移植を受ける場合、ドナーには以下の3種類があります:
- 標準基準(Standard Criteria)
- 循環死後ドナー(DCD: Donation after Circulatory Death)
- 特別配分(ED: Exceptional Distribution)
標準基準ドナーとは?
- 脳の機能が完全に停止した後、心臓が動いている状態で臓器を摘出
- 年齢12〜45歳
- 重度の持病がない(糖尿病、コントロールされていない高血圧など)
- 腎機能が良好で、eGFRに異常がない
- CKDやAKIなどの腎疾患歴がない
- HIV、HBV、HCVなどのウイルス感染リスクがない
- 薬物使用歴がない
循環死後ドナー(DCD)とは?
- 心臓が停止した後に臓器を摘出
- 一時的に血流が止まり、酸素不足により腎機能の回復に時間がかかる(数日〜2週間透析が必要な場合も)
- 感染症、拒絶反応、急性腎障害のリスクがやや高め
- 移植全体の10〜20%程度を占める
特別配分(ED)とは?
- なぜEDに該当するかの理由は公開されない(ただし、リスクの説明は受けられる)
- 多くの場合、感染症リスクが関係している
- HIV:リスクは約1/4,000〜1/30,000
- C型肝炎:リスクは約1/300〜1/1,000(現在はほぼ治療可能)
- ポリオーマウイルス感染(腎臓感染):10人に1人が発症する可能性
- BC州では、40〜50%の亡くなったドナーがEDに該当
私たちの決断と、これから
私たちは生体腎移植という決断をしましたが、これから始まるドナーアセスメントによっては、私たちの腎臓が息子にとって適切ではないと判断される可能性もあります。
でも、ドクターやナースたちは、もし自分の腎臓が適合しなかったとしても「親失格」だなんて絶対に思わないでほしい、と伝えてくれました。
「息子さんのために、生体腎移植を考えたということ自体がすでに誇るべきことです」
そして、息子に私達がドナーになることを考えていると伝えると、
「自分のために、ダディやママの体を傷つけることはやめてほしい」
と言われました。
病気で大変なはずなのに、自分のことではなく親の体を心配する息子の姿に、もう何も言えませんでした。
きっと、これからも大変なことは続くと思います。
それでも、どうなるかは分からなくても、家族で一歩ずつ前に進んでいけたらと思っています。
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